YouTube動画「作家が作家にきいてみた」第二回全文起こし2/3 ふたつ目の質問

子どもと読書の委員会

こんにちは! 動画をアップしてから、「見ました♪」ってお声をかけてくださる方がふえて、なんともうれしい限りです^^ ちら見でもいいんです。だって、わたしたちの目標は「この作家ってこんな感じの人」って伝わればいいんですもの!

とはいえ、文字が必要な方に届きますようにと、文字起こしも続けていきますよ。今日は第二回目のふたつ目の質問です。

●しめのゆき×松本聰美(聞き手)

●『ピアノようせいレミーとメロディのまほう』(とこゆ・絵 ポプラ社)

また6月には第3弾の動画をアップする予定ですので、楽しみにお待ちくださいね。

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ふたつめの質問

 

マ:この本には、ストーリーを楽しむだけじゃなくて、たくさんの工夫がこらされてるんですよね、い  ろんな工夫が入っています。

おしえてレミー!ちゃん、というところで、リズムのこととか。

 

マ:それから、ヴァイオリンのこととか、コンサートに初めて行ったときにはこんな

ふうに、ってクラシックコンサートでのマナーとか書いてあるところとか。

そして本の最後にはQRコードがついていて、それを読み取ると、編集者さんが

この本に出てくる曲を弾いてくれてるんですよね?

 

シ:そうなんです。

マ:すごい工夫してあって、おとなでも楽しめるなって思いながら、読んだんです

けど。そういった工夫は、はじめから、計算されていたんですか? この本が

できあがっていった過程を、おききしていいですか?

シ:はい、ありがとうございます。えっと最初からそういうふうに作られていた

わけではなくて、最初は打ち合わせから始まったんですね。

この本、2冊出ていて、いま3冊目の準備をしている最中なんですけれど。

 

マ:これ!(1冊目を提示)

シ:あ! ありがとうございます! 1冊目ですね!

えっと打ち合わせのときに、まず最初に決めているのが、作曲家と曲名なんです。そこが決まらないとどうにもならないので、そこをまず決めます。

 

シ:というのは、低学年の子が読者対象なので、どんな作曲家でもわかる! とい

うことではなく、よほど有名な人でないと知らないだろうなって、ところがま

ずあるのと。この本を読む子は絶対にこの曲を探すんじゃないかなって。

マ:そうそうそう。

シ:そうですよね。だから実際に楽譜が市販されているものでないとちょっと難しい

んじゃないかなっていうのが、打ち合わせしている段階でもう、わかってきてい

て。私もまずリサーチしてから、この曲どうですかって、いくつか提案するようにしています。

 

シ:ブルグミュラーが登場しているのは、ピアノを習う子が通る道だから。

マ:ああ、そうです!

シ:ブルグミュラー、通りますよね。だからそんなところから。入っているんですね。

で、もうひとつ大事なのは、曲名が決まると、今度は私が弾いてみるんですよ。

シ:弾いてみて、この曲だったら、こういう問題があるとか、子どもたちはここで

つっかえるんじゃないかなとか、気持ち的にここは無理なんじゃないかなとか、

そういうことをピックアップしていくんですね。それで、そのうちのひとつが、

この物語のテーマになっていく感じになっているんです。

 

シ:だから曲が途中でかわると、リサーチ不足とかで、都合が悪くなってかわると、

全部ひっくりかえってしまうので、ちょっとね、ほんとうに曲が最初に決ま

るっていうのが大事なんです。

 

シ:たとえばこの『メロディのまほう』のなかには、ブルグミュラーの『パストラル』

という曲が出てくるんですが、これは、静かな、穏やかな曲なんですけど、これは

情感をこめて弾くのがやっぱりちょっと、単音でメロディがくるので難しい。

 

シ:で、なんだろ、音楽って自己表現なので、自分を音にのせるのって、すご~く

難しいんですよ。しかも、恥ずかしい、自信がないとできない。そういうところ

でそこから逃げないでがんばることで、音楽もできてくるっていうことを、ここの

巻では言いたいというか、ひとつのテーマになってる感じになっているんですね。

 

マ:ありがとうございます。すっと曲も選んだんじゃなくて、いろんなリサーチを

して選ばれたということが、とってもよくわかりました。

シ:そうなんですよ。

マ:ね。

 

 

シ:何曲か弾いてみたりもして、これだったらいいかなって、そういうこともあったりとか。

あとですね、そういうことが決まってきて、でも、えっと作曲家の顔が実際にわからな

かったりとか、曲のタイトルの意味がわからなかったりとか、いろいろはみだした情報

があるじゃないですか。

シ:それがあって、一冊になってほしいなっていうことで、コラムがたくさん入っ

ているんです。で、そのコラム実は、書いているの私じゃなくて、

編集さんが書いてくれているんですね。

マ:あっ、そうなんですか!

シ:そうなんです。原稿があがっていく過程とか、読んでもらう過程で、こんなの

とか、あんなのとか、なんとなく共有の、わかってくるので、それを拾って

編集さんが書いてくださっています。

編集さんすごいです。ほんとに、頼もしい相棒なんです。