国際部 自己紹介&私のおすすめ本(3月) 浅野法子
ようやく春の日差しが感じられるようになりました。
みなさま、お変わりありませんでしょうか。
今回のブログを担当します国際部の浅野法子と申します。国際部メンバーより自己紹介をお届けする企画で、野坂悦子さんよりバトンを受けました。
普段は大阪成蹊短期大学にて、主に幼児教育科目や司書課程科目の授業を担当しています。また、日本と中華圏の児童書の研究をライフワークとしています。大阪生まれ、大阪育ちですが、一時期北京に住んでいました。
なぜ、日本と中国の子どもの本に興味をもつようになったのか。今思うと全てが後付けの理由になりそうですが、見聞きしたことを含め、いくつかのきっかけがありました。
今回は、学生のころに出会った一冊を紹介します。
『ボクの満洲――漫画家たちの敗戦体験』(中国引揚げ漫画家の会編 亜紀書房 1995年)
https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=414
戦時中を満州で過ごした漫画家たちによる、挿絵入りの体験記。この一冊をご存知の方も多いと思います。
当時の大連、北京、上海等、背景が少しずつ異なるものの、筆者たちの記憶からは広大な大地、おおらかな中国のイメージが見えてきます。それらは、その後の生きる活力へと繋げてこられた彼らの原風景とも読み取れます。
幼いころから自ずとアイデンティティを問うことになり、問われることも多かったことでしょう。そうしたなかで心身ともにたくましく成長されてきた姿には、子どもが本来もつ強さが感じられます。
現地の人たちとのエピソードには心温まるものが多く、それらは私自身が北京在住中に受けた印象とあまり変わりません。戦時中の限られた空間での様子に普遍性を見出すのは無理があるかもしれませんが、さまざまな読み方ができるのも本書の特徴かもしれません。
国際部での活動を通して、別の国や地域の状況も学びたいと考えています。またの機会があれば、現在の中華圏の児童書の動向をご報告させていただきます。