153、「絵本作家」ではありません(2025,1,6)

理事長ブログ

【新しい年になりました】

・新しい年、いかがお迎えでしょうか。僕は“喪中”ということもあり、特に正月っぽいイベントもなかったのですが、4日は一日出かけ、昨日(5日)はカミさんが発熱したりで、本年最初のブログが、今日になりました。

このブログを途中から見ていただいている方には、改めての説明になりますが、ブログの更新は、一応「5の日」としています。僕が生まれたのが5時55分(月は3月ですが、日も5日)と、5がラッキー?ナンバーであることにちなんだものです。そして、生年も西暦で1950年、昭和で25年と、やはり「5」が関わっています。というか、今年は75年目を迎える年ですから、きっといい年になるだろうと、期待しています。

【昨日の新聞で】

・うちは毎日新聞を購読していますが、昨日(1月5日)の朝刊で、印象的な記事が三つありました。ひとつは、一面トップで、見出しが「主権者教育「中立」と介入」「生徒による調査 学校が廃棄」というものです。詳しくは書けませんが、18歳選挙権が始まって初の衆院選があった2021年11月、北海道の高校で、生徒たちが発行する新聞が、全校生徒を対象に、選挙への関心度や、もし投票するならどこに?といったアンケートを実施しようとしたらしいのです。この時、学校側から待ったがかかり、おまけに、回収されたアンケート用紙が一週間ほどの間に学校側によって廃棄されてしまった、という事実です。そうした顛末と共に、こうした高校生の「政治教育」の外国、特にドイツの例が紹介され、こども家庭庁が、23年度に5か国の13~29歳を対象に、「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」という設問に、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の割合が紹介されています。ドイツ60%、スウェーデン55%、アメリカ52%、フランス48%、そして日本は断トツ最下位の36%でした。

この記事は、「デモクラシーズ~これまでこれから~戦後80年」という企画記事の4回目ですが、もう一つは大分前からの連載、「松尾貴史のちょっと違和感」です。いつも、世相にちょっとくぎを刺すような辛口のエッセイを感心してみているのですが、今回はやや激辛。ただ、ここだけ抜き出すと、この文章のレトリックのうまさが伝わらないと思うのですが、初詣に関して、「「世界平和」を祈願しようにも、あちらこちらの神社に「憲法改正」を呼びかける団体のポスターが張られているのを見ると、まともに手を合わせようという気持ちだってうせてしまう」と、辛辣に批判しています。拍手。

【古田足日は絵本作家?】

・さて、これが本題ですが、文化欄に、昨年4月に、新たに神奈川近代文学館の館長に就任した荻野アンナさんへのインタビューが掲載されています。本を読まない人が増えている中で、どのように「文学」をアピールしていくのか、抱負が述べられているのですが、後段で、昨年夏の古田足日展のことに言及されているところで、思いっきりつまずいてしまいました。「私は展覧会で取り上げる作家に感情移入してしまうほうです」と、ここまではいいのですが、その後、「昨夏に開催した絵本作家の「古田足日展」では、文学館の売店で古田さんの本を買って、毎晩枕元において楽しんでいました」とあるのです。おいおい、と思ってしまいました。多分、荻野さんが買ったというのは、『おしいれのぼうけん』でしょう。この絵本は、普通なら「古田足日・文 田畑精一・絵」と記載されるところを「さく ふるたたるひ たばたせいいち」というふうに、文と絵の作者を並べて書いています。それは、古田さんと田畑さんが作家と画家という枠を超えて、まさに共同作業でこの絵本を作ったという宣言であるわけですが、しかし、古田足日はもちろん「絵本作家」ではありません。

・こういう言われ方は、実はよくあるパターンで、僕自身も、割合最近のことですが、ご近所の方が、僕が子どもの本を書いているということを耳にしたようで、「絵本を書いておられるんですってね」と言われました。つまり、「子どもの本」=「絵本」という誤解?です。そういえば、これも割合最近ですが、角野栄子さんの紹介で、「絵本作家」という言い方を目にしたような気がします。

まあ、しかし、一般の方は、それでもしかたないでしょう。神奈川近代文学館の館長の荻野アンナさんともあろう方が、そういう認識であることは、誠に残念と言うか、僕はあまりそういう発想はありませんが、ちょっと抗議したい感じでした。そして、もう一つは、もちろんこのインタビューをした毎日新聞の文化部の記者も、それをチェックできなかったわけで、毎日新聞は読書感想文コンクールの主催者で、子どもの本関係の記事は他紙より多いと思うのですが、二重にがっかりでした。

という、今回は、新年初怒り?のブログでした。