9-10月号発行と古田足日展

『日本児童文学』編集部

『日本児童文学』9-10月号が発行されました。
特集は「長いふしぎの物語 ―—ファンタジー、SF―— 」で、共同討議では、戦後から現在までの長い射程でファンタジー、SFが語られます。そんな中で興味深かったのは次のようなやり取りです。

東野 私は『ぬすまれた町』を斬新だなあと思いながら読みました。(中略)後半になって、じつはパラレルワールドになっているとわかるのです。その描き方から、私はファンタジーだと思います。
宮川 古田さんはSF的なものといってます。
(中略)
東野 SFというのはこれこれの世界に飛んだとはっきりわかるように書くものです。ところが『ぬすまれた町』ではそれをはっきりさせない。
宮川 小川未明みたいですよ。呪文的で。

日本の児童文学に大きな足跡を残してきた古田足日ですが、その作品には、学ぶべきもの、そして謎も多く残されているようです。
 さて、そんな古田足日の企画展、《没後10年 古田足日のぼうけん》が、県立神奈川近代文学館で開催中です。会場には、『日本児童文学』の最新号と古田足日追悼号も置かれていて、購入可能です。9月25日までです。
(文責 荒木せいお)