141、まだら模様の日々(2024,8,25)

理事長ブログ

【この間のできごと】

・18日の日曜日、前に書きましたが、武蔵野市で講演をしました。戦後50年の時ですから、29年前ということになるのですが、武蔵野市を舞台にした『麦畑になれなかった屋根たち』という絵本を出しました。今グリーンパークとなっている広い公園に、戦時中、中島飛行機という、日本で一番大きな軍用機のエンジンを作る工場があり、そこがB29の本土空襲の最初の目標とされたのです。1944年11月24日のことでした。それを題材にした絵本で、絵は永島慎二さんに描いていただきました。童心社から出て、一時絶版になっていたのをてらいんくから10年ほど前に復刊してもらったのですが、30年経った絵本について、話をさせてもらうというのは、ありがたいことです。僕は講演は多くありませんが、そのほとんどは評論家としての話なので、今回のように「作者」として呼んでもらうのは、また格別の思いがあります。

これも以前に何度か書いたことですが、僕はもう一冊、戦争を題材にした絵本を出したいと思っていて、なかなか実現しないのですが、それは1945年8月14日夜の、秋田・土崎への空襲を描いた絵本です。意図したわけではなかったのですが、奇しくもB29による「最初」と「最後」の空襲を題材にすることになります。ちょっとあきらめかけていた感じもあるのですが、今回の講演で、やはりなんとかがんばらなくては、と思わせてもらいました。

【事務局の“留守番”】

・21日の水曜日、いくつか片づけたいことがあり、事務局に出向きましたが、この日は原さんが休日出勤の代休、宮田さんが在宅ということで、久しぶりに一人で事務局にいるという時間を過ごしました。かつては時折あったことですが、たまにしか事務局に出ない身となっては、すっかり“留守番”気分でした。感じたのは、かかってくる電話が少ないこと。夏休みの時期ということもあるのでしょうが、やはりメールが主流になっているということでしょう。確かに事務局にくるメールの数は、おびただしいものがあります。

事務局から一番近い図書館が、新宿区の中町図書館というのですが、近いとはいえ、歩いて15分弱あります。予約している本を取りに行かなければならず、少し涼しくなってからと、4時頃に取りに行きました。まだまだ暑く、帰ったら汗びっしょりになって、半そでのシャツを脱いでタオルを濡らして顔や体をふきました。(水道は共用で、ドアを開けてすぐの所にあります。)ランニングシャツ姿で“涼んで”いたら、印刷屋さん(『日本児童文学』の印刷所)が入ってきて、その格好で電話中だったので、いささかあわてました。校正刷りを受け取って、また電話を再開したら、今度は宅急便屋さんが入ってきたのでシャツを着ようとしたら、宅急便屋さんが笑いながら「いいです、いいです」と言って、(宅急便はなかったので)帰っていきました。別にそんなにあわてることもなかったわけですが、一人でなければそんな格好になることもないわけで、留守番の最後は“苦笑”でした。

【常任理事会で】

・そして、22日の木曜日は、常任理事会でした。午前10時半から、リモートです。8月は理事会はお休みで、9月理事会に向けての常任理事会でしたが、メインの議題は、理事会の日時設定について。というのは、僕が理事長になっての20,21年度は、コロナでほとんどリモートだったわけですが、22,23年度は、リモートとリアル(リモート参加も可のハイブリッド)を組み合わせての開催でした。同じ曜日や時間帯だと、毎回出られないという人が出てくるので、リアルの時は午後2時から、リモートの時は4時からという設定にしました。7月の理事会で、今回もその線で、と提案したのですが、今期は新しい、そして若い理事も増え、フルタイムで勤務を持っている場合は、休暇を取るなどしなければなりません。それで、夜に開催できないかという話になり、9月の理事会で再度話し合うことになりました。

それと、今回の常任理事会で、新事務局長の原さんから、「理事会の時間が長すぎる」という指摘があって、愛知県出身の原さんによれば、トヨタの「30分会議」というのが有名だとのこと。30分はともかく、協会の理事会は一番早くて2時間、3時間かかることも珍しくありません。みんなの意見を出してもらうことも大切ですが、やはり集中力には限界があり、長い時間の会議で、結局は自分たちの負担を増やしていることになります。特に、夜の会議ということになると遅くまでになってしまうので、「1時間半で終わらせよう」ということにしました。児文協としては、なかなかに画期的?な取り決めになったと思います。

【まだら模様の日々】

・ちょっと長くなりますが、昨日、書評をひとつ書き上げました。岩瀬成子さんのエッセイ集ですが、『まだら模様の日々』(かもがわ出版)というタイトルに、まずは惹かれました。新聞『赤旗』の読書欄ですが、担当の児玉さんという記者の方は、若い時に原稿依頼をいただいた覚えがあり(中身は忘れましたが)とても久しぶりのやりとりでした。それで驚いたのですが、その児玉さんは、岩瀬さんとは岩国の中学校で同期生だったというのです。そして、その児玉さんが、上記の武蔵野市の講演に顔を出してくださり、四十数年ぶりの対面をしました。このエッセイ集は、後半に連作の短編が入っているというおもしろい造りで、岩瀬さんの作品と合わせて読めば、さらに興味が増すと思います。

そんな、まさに“まだら模様の”11日間でした。台風10号も心配ですね。27日に会議を予定していますが、リモートになるか? 8月も終盤ですが、なんとか暑さも乗り切りましょう。