新! 「今の児童書 私の推し」第5回 鳥野美知子

子どもと読書の委員会

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こんにちは。毎日、ほんとに暑いですね。
今月バトンを受け取ったのは、鳥野美知子です。
第4回は、かわのむつみさん推しの『まほうのアブラカタブレット』如月かずさ・作(PHP研究所)でした。
もはや学校生活に欠かせないタブレットです。いたずらっ子こたろうは、魔法のアプリを手に入れます。
魔法は楽しい、わくわくドキドキです。改めてタブレットを二度見したくなりそうです。アプリあるかな?
今回、私が推す本も、学校の中のお話。『あたしは本をよまない』コウタリリン・作(BL出版)です。
まずタイトルが潔くて好きだなと思いました。
書き出しも、いいです。「教室はうるさい箱だ。その中で転校生の木田くんはいつもひとり、しずかな・(てん)みたいにすわっている。
いつもひとりでしずかにいるのが・(てん)なら、あたしも三年二組の・(てん)だ。きょうもまだ、だれともしゃべっていない。」
ユイの気づきに、共感する子もいることでしょう。
ユイちゃんが、字のすくない本を読んでいると、お母さんに、「あのなユイちゃん、本を読まんと、みんなにおいていかれるよ?」と言われます。
みんなって、だれ? おいてかれるって、どういうこと? ユイちゃんは、思いだすだけで、おなかのすみっこがあつくなります。
「おかあさん、ちがうよ!」
わたしも、ユイちゃんといっしょに、叫びたくなりました。
一方、転校生の木田くんは、ただ哲学の本を借りただけで、小学生なのに、すごいねえと、大人にほめられたという、感想文を発表します。
ユイちゃんは、それそれ、それだ。読まなくても、持ってるだけでほめられる本が知りたくて、木田くんに話しかけます。
いつも一人の木田くんに話しかけて、ユイと木田くんは図書館に行きます。

哲学とは愛智という意味で、考えて考えて、知ってわかることが大好きだということを、木田くんに、おしえてもらいます。
それから、いつもうるさくて苦手だった草野くんも、いつのまにか仲間になり、三人は図書館に集まるようになります。
話すことは、いっぱいありました。
ある日、草野くんは、地図記号の本の感想文を書いて賞をもらいます。

「そうだよ、ユイちゃん。図書館には、いつも静かに、いろんな本があるんだよ。字の少ない本でも、すごくいい本があるんだよ!」
わたしは、ユイちゃんのおばあちゃんになった気持ちで、そう、いいたくなりました。
でも、ユイちゃんは、もっと清々しい。「本は読まへんけど、書く人になる!」 と決意するのです。
この本は、うだるような暑さにぴったりの、さっぱりした、清々しい本です。(ちょうど、そうめんみたいな)
本が大好きで、大好きで、食べるように読みたい子にも、感想文と聞いただけで、うへーとなる子にも読んで欲しい本です。
ちばみなこさんの絵も、爽やかで優しくてかわいい。

次にバトンを渡すのは、加藤純子さんです。どんな本を推してくださるのか、楽しみですね。

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