新!「今の児童書 私の推し」第4回 かわのむつみ

こんにちは、いよいよ本格的に夏ですね!

第3回目は、いとうみくさん推し「アナタノキモチ」新!「今の児童書 私の推し」 第3回 いとうみく – 日本児童文学者協会 (jibunkyo.or.jp)でした。それぞれの思いがぶつかる家族。作者の安田さんは難しいテーマを扱いながら、重くなりすぎずに登場人物のきもちを読者に伝えてくれています。テレビドラマ『向こう岸』も、若い役者さんたちの魅力がプラスされ、とても見ごたえのある作品でした。

さて今回の推しの一冊は、如月かずささんの『まほうのアブラカタブレット』(PHP研究所)です。

中学校や高校では、数年前から各自にタブレットが配られ、宿題もそのタブレット端末に届くようになっていることは知っていましたが、今や、小学校1年生から、タブレット端末に宿題が届き、それに答えを入力して先生宛に送信するそうなんですね。

「うわ~、大変! 紙の方が絶対いいよねえ?」と、2年生の子を持つお母さんに尋ねたら、「いえいえ。ゲーム感覚で解いて返信できるから、うちの子、紙より楽しいみたいですよ!」とのこと。

そんな会話のすぐあとに、出会ったのがこの本です。

まほうのアブラカタブレット | 如月 かずさ作 イシヤマ アズサ絵 | 書籍 | PHP研究所

まほうのアブラカタブレット

物語の冒頭は、小学校の校庭でタブレットを使って写真を撮る授業の場面。いたずら好きの、こたろうが、タブレットをベンチにぶつけてしまいます。

すると、画面のすみっこに、『アラジンとまほうのランプ』のランプとそっくりな絵があらわれ、そのランプを押してみると…。

「アブラカタブレ~ット!」ランプから、紫色のヘビみたいなのがとびだしました。ヘビは、タブレットの精タブーだと名乗り、『アブラカタブレット』は、すばらしい魔法のアプリだと説明をはじめます。

そのアプリは、写真に撮ったものに別の色をつけたり形をかえたりすると、現実の世界も写真と同じように変わってしまうとのこと。

テントウムシが金色に。花がクッキーに。そして、なんと友だちの頭につのが。

おまけに、たくさんまほうを使ってゲージがまんたんになると、お願いがかなうというのです。

テンポよくどんどん読んでしまったけれど、このあたりまでくると、「アプリを使えば使うほど、お願いが叶うって、そんなうまい話がある??」と、子ども読者もなんだか、あやしいぞ…、タブーって、悪い奴かも? こたろうくん、あぶないんじゃない? と、思い始めるはず。

案の定、こたろうが窮地に陥ってしまう展開に、やっぱりね…と思いつつ、その後の解決方法からも目がはなせません。

言葉遊びの面白さ+軽快なテンポの文章のおかげで、まさに魔法を楽しんだような読書のひとときが味わえる、この夏、低学年向けイチ推しの一冊です。

 

次回8月の担当は、鳥野美知子さんです。どうぞお楽しみに!