5・6月号 おまけの情報②

『日本児童文学』編集部

今号の表紙は佐竹美保さんです。
「表紙の言葉」には、「光と風をお供に/若葉のデリバリーはいかが。/配達人が 通るたびに/緑の滴が したたり落ちる。」とあります。配達人がまたがっているのは犬にも見えますし、ファンタジーの世界の生き物にも思えます。
佐竹さんといえば、角野栄子さん、柏葉幸子さん、上橋菜穂子さん、新藤悦子さんなどのファンタジー作品の絵を思い浮かべますが、近刊では角野栄子さんとともに作られた『ちいさな木』という絵本があります。
小さな木が旅をする物語ですが、そのきっかけが素敵です。
家出して「じぶんのすきなところにいくんだ」という犬の言葉にちいさな木は心を動かされます。けれど木なのでついていくことはできないとあきらめてしまいます。ところが「やってみなくちゃ わかんないよ」と犬は言うのです。
今いるところが、じぶんのすきなところと思えなければ、迷わず先へ進んでいく犬の姿は、潔さと強さがあって憧れてしまいます。
葉の緑がアクセントになっているシンプルな絵はそんな作品世界を支えています。
機会があったら是非お読みください。
                         (荒木せいお)