岡山セミナー通信 No.5 ~おかやま文学フェスティバル2024~

組織部

岡山市は、「ユネスコ創造都市ネットワーク」の文学分野への加盟が認定されました。(2023年10月31日)その文学創造都市のイベントの一つに「おかやま文学フェスティバル」があります。

岡山市は、「坪田譲治文学賞」「市民の童話賞」をはじめとして、児童文学を中心とした文学に関する様々な資源を保有しています。また、その資源を活用して様々な関係者と連携しながら「おかやま文学フェスティバル」等の取組を行っています。(岡山市文化振興課ウェブサイト文学創造都市おかやま | 岡山市 (city.okayama.jp)

さて、「おかやま文学フェスティバル2024」が市民と書店・出版社・行政など本に関わる団体(渡邉賢二:斑猫軒、根木慶太郎:451ブックス、山川隆之:吉備人出版、岡山市文化振興課、他沢山の人びと)の協力により、開催されましたので、その様子をお知らせします。「おかやま文学フェスティバル」とは、「岡山を文学のまちにする。文学と本を楽しむ一か月」のイベントです。

 

◎「坪田譲治文学賞贈呈式・記念行事」(2月23日)◎

岡山芸術創造劇場ハレノワ で、岡山市出身の児童文学者・坪田譲治を顕彰する文学賞の39回目の贈呈式がありました。坪田譲治文学賞は、大人も子どもも共有できるすぐれた作品に授与されます。受賞作は『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈著(新潮社刊)。式の後半は、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟記念行事として、五木寛之さんの講演があり、世界で起きている戦争や地震など深い苦しみに思いを凝らしながら、古来私たちが抱えてきた「暗愁」という言葉について語られました。

 

◎おかやまZINEスタジアム(2月25日)◎

手作り本(個人やグループで自由に作る小冊子)の販売会が、旧内山下小学校の体育館でありました。高校生のイラスト集あり、『おかやま街歩きノオト』あり、写真集や詩集、郷土資料など、こだわりの手作り本をたずさえて兵庫や高知などからも、70以上のお店や個人が集まりました。文学にちなんだおしゃれなカフェもあり、外では岡山市立図書館の移動図書館車も来ていました。

体育館のステージ前では読み聞かせブースが設けられ、岡山市学校司書有志(岡山市立小・中学・高校の学校図書館に専任で配置されている学校司書)と地元のお話グループ・プーさん文庫がおはなし会を催しました。学校司書はロールシアターや大型絵本の読み語りなど、プーさん文庫は紙芝居や手遊びなどを行って、幼いお子さんから年配の方まで、ゆったりと遊ぶ場をつくりました。午後からはステージで乗代雄介さん(『旅する練習』で第37回坪田譲治文学賞を受賞)などのトークイベントもありました。

本屋をめぐるもよし、トークを聴くもよし、本と人の心あたたまる出会いの広場になっていました。

 

◎おかやま表町ブックストリート(3月3日)◎

岡山市北区の表町商店街の真ん中で、1日限りの古本屋を出すイベントが開催されました。1メートル四方に一箱の本を用意してお店をつくるのです。県内外の古本店と市民のにわか古本屋がお店をつらねました。私たち「学校図書館を考える会・おかやま」(市民と学校司書でつくる学校図書館の充実を願う会)も出店しました。古本、文房具やレコード、いつのまにか増えすぎたキャラクターグッズなど、ぎゅぎゅっと並べて「ピョンピョン堂」という店をつくりました。お店番は、おしゃべりが商売道具という学校司書たちですから、当初の目標の倍近く、人と交流して売り上げたというウワサです!

 

◎おかやま文芸小学校(3月9・10日)◎

「おかやま文芸小学校」とは、全国の出版社や書店による展示即売会、トークイベント、製本や本棚づくり、詩歌づくりなどのワークショップなど、“本と文学をあらゆる切り口で楽しむ”文化祭なのです。

会場は旧内山下小学校。教室や廊下、玄関フロアにも本の展示即売ブースが広がり、他の教室では本づくりや印刷にチャレンジする講座、ブックトークなどが同時多発で進行していました。中庭では「文豪弁当」、漱石好みの串団子やイチゴジャム、「檸檬ケーキ」などなど文学色満載のスイーツ&ランチが並んでいました。

さて、2Fの教室では小・中学・高等学校の学校図書館、県立図書館の展示・掲示と、坪田譲治の展示と映像放映を行いました。岡山市学校司書のおすすめ本のリスト「この本、読んでみん?」(全7巻)も配布しました。

ここでも、岡山市学校司書有志や地域の文庫・おはなしグループによるおはなし会を催しました。 教室には椅子や机がランダムに配備されていて、軽食を持ち込んでおしゃべりを楽しむ人、おはなし会に参加する親子、展示本をゆっくり読む人など、参加者は、それぞれにゆったりと本の世界にひたっておられました。

本を創る人、本を語る人、味わう人、内面の創造世界を大事にする人たちが集っていたからでしょうか、とても穏やかな時間が流れる文芸小学校なのでした。

後藤敏恵