新!「今の児童書、私の推し」第1回しめのゆき

子どもと読書の委員会

昨年7月から毎月1日に更新してきた、リレー形式の通称「推し本ブログ」。

大好評につき、今月から二巡目に突入しました!

バトンを受け取ったのは一巡して、しめのゆきです。

 

前回、押川理佐さんが推されたのは、

西沢杏子作『さくら貝とプリズム』(東逸子・絵 銀の鈴社・刊 ジュニアポエム双書297)でした。

「今の児童書 私の推し」第8回 押川理佐 – 日本児童文学者協会 (jibunkyo.or.jp)

 

渦中にいては御しがたい思春期という在り様。この詩集の中でそれらは美しく乱反射していて、かつての自分の姿と詩の中で出会い、揺さぶられました。

 

さて、今回わたしが推すのは、2024年3月に発売されたばかりの絵本、

絵/ミース・ファン・ハウト 文/ほんまちひろ 『ねこひげぴぴん』(西村書店)です。

『オランダで人気の絵本作家が描く「こころ絵本」第3弾!』と帯にあります。1冊目、2冊目の翻訳を担当した作者が、オランダ語版とはまた違う日本語を新たに書いたというから驚きです。最初の打ち合わせ時から5年もの歳月をかけたそうです。

 

登場するのは、カラフルな22匹の猫。

たとえば……こんな猫。

『うれしいときにゃあ しっぽがうえに

さみしいときにゃあ しっぽがしたに

しっぽねこちゃん きょうは まんにゃか』

この子をじっと見ていると、思うのです。

今、きみは、どうしてそんな顔をしているの? 何を考えているの? って、思わず手をのばしてしまう。そう、読み手を放っておいてはくれないのです。

作者は、この子たちとずっと暮らしているんじゃないかと思えてきます。ずっとこの子たちを感じていて、たまには引っかかれたりとか、抱きしめたりしている。だからこの子を呼ぶなら、これ以上の名前はないよねって、名前で呼んであげられる。愛ですね!! そこがたまらなくいいのです。

開くたびに、新しい猫と気持ちに出会える絵本、ぜひ!

 

ねこひげ ぴぴん ★3月13日発売! | 西村書店 (nishimurashoten.co.jp)

次回5月の担当は田部智子さんです。どんな本が登場するのでしょう? お楽しみに!