大切な時間、大切な人たち(伊東未夜)/第77期創作教室

講座ブログ

創作教室へ通うと決めたものの、自分の中に「“書くこと”において、仲間は真に必要なのだろうか?」という疑い深さが残ったままだった。
「物語を創り出したい」という生産的な気持ちがありながら、わたしは自分の不器用さや、内面の歪さも持て余しているような人間だ。
けれど扉を開けたら……そこは「書くこと」「創作すること」何より「児童文学」に一途で真剣で、ピュアで誠実な人たちばかり。
「地方からはるばるやってきて、偏屈なところもあるし、時に暑苦しく語る自分は浮いてしまうのでは……」と懸念していたちっぽけな自意識はすぐに消え、わたしはその誠実な人たちと、本音で多くの言葉を交わしていることに気づいた。こんな場所が時間が、ずっと欲しかった。

「自分は“書くこと”だけではなくて、”自分の人生”に行き詰まっていたのかも」!

児童文学者協会の創作教室で、わたしは多くの大切な友人たちと出会うことができた。
その親友と言える人たちと先生たちと。作品について、文学について多くを語るのだけれど、それ以外の雑談や何気ない会話も深いし、和むし、時に心から笑う。
そういう「信頼できる人たちとの生きた会話(対話といったほうが適切?)」を常々していると、心にみずみずと余白も生まれて、生き生きとしたものやのびやかなもの、自分で予想もしなかったアイデアが生まれる感じがする。

今回わたしの書いたお話が、第35回新美南吉童話賞 新美南吉オマージュ部門の優秀賞を頂くことになった。
受賞作である「ソウスケさんとオリガニ」というお話は、とてもシンプルに言い表すと、「誰かと誰かの真心が、素朴に通じ合う物語」ということになるだろうか。
受賞が決まった時、わたしは「このお話は、これまで自分に優しくしてくれたすべての人たちと……自分が傷つけてしまったすべての人たちへ向けて書いた」ということにも気づいた。そう思ったら、泣けてきた。
家族が同席してくれた授賞式。終始親切にしてくださった新美南吉記念館と関係者の方々、そして選考委員の先生方の言葉と人柄の温かさ。新しい出会いはもちろん、懐かしい人との再会もあった。
「ありがとう」と「これからもよろしくお願いします」を大切な人たちへ。

 

(おめでとうございます! by事業部)

 

※新美南吉童話賞の結果発表はこちらです。