岡山セミナー通信 No.1
2024年開催予定の、「文学セミナーin岡山」。実行委員の堀江です。
このほど日程も決まり、実行委員一同、一年後の開催に向け、気合い注入! 岡山らしさを再確認しながら、楽しく準備したいと考えているところです。せっかくなので、そのプロセスもご相伴してもらっちゃおう!ということで、勝手ながら、時々、岡山らしさを発信していこうと思います。今日は、村中李依さんの『奉還町ラプソディー』の舞台を、つたない感想とともに紹介します!
恥ずかしながら、ラブソディーってなんだったっけ、からスタートしました。「耳なじみはあるけど、よく知らな~い」ということでネット検索。すると、狂詩曲のこと、自由奔放な形式で民族的・叙事的な内容を表現した楽曲、性格的小品の一種。とあります。さらに、音楽の他にも、高揚した感情の表現や発言、情熱的な文(詩・手紙)や、叙事詩、などの意味でも使われる、というようなことが書かれており、なんだか、わかったようなわからんような……と思いつつ読み始めたのでした。しかし、いざ読み始めてみると、この「ラプソディー」が、読み進めば読み進むほどにじんわり染みてくるではありませんか。実は、私は、奉還町商店街のすぐそばに住んでおります。つまり、本に登場する場所や空気をリアルに思い描くことができる読者なのです。古いけれど新しく、今っぽいけど懐かしい〝お買い物の散歩道〟奉還町商店街。その風景と物語との響き合いは、まさに、ラプソディー。ラブソディー以外の何物でもない!と思えたのです。
本の世界観を、頭の中で自由に羽ばたかせながら読むのと、実物を思い描きながら読むのと、どちらが楽しいか。意見がわかれるところです。この本に限って言うと、私は必然的に後者でした。でも、それでよかったとつくづく思います。あれから奉還町を通る度、さとしやあつし、べにやのおっちゃん達に、ばったり出会えるような気がして、心底ワクワク胸をおどらすことができるのですから。