日本児童文学 2024年9・10月号

特集  長いふしぎの物語  -ファンタジー、SF-

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特集 長いふしぎの物語 -ファンタジー、SF-

子どもの本は、ふしぎの世界と親和性がありますが、同じふしぎを描いても、短編と長編では、書き方も違いますし、その意義や魅力も違います。本誌3-4月号では、まず「短いふしぎの物語」として、「昔話、メルヘン、幼年童話」など、短編の非日常物語をとりあげました。
そして、今号では「長いふしぎの物語」として、ファンタジー、SFなど長編の非日常物語をとりあげます。これらの長編は、近代以降の合理精神、科学精神に裏付けられ、ふしぎな世界ながらも、読み手を納得させる構築性、法則性を備えています。そうした19世紀以降の欧米のファンタジーやSFは、日本にも積極的に紹介され、また日本でも、数々の「長いふしぎの物語」が生み出され、さらには東洋的な伝承をふまえた作品も生まれています。
こうした「長いふしぎの物語」は、日本児童文学においてどのような歴史があり、また、どのような意義や魅力があるのでしょうか。子どもにとって、あるいは大人にとっても、このような「長いふしぎの物語」を書く、そして読むとは、どういうことなのでしょうか。あらためて、考えてみたいと思います。

目次紹介

特集 長いふしぎの物語 ―ファンタジー、SF―
《創作》「不思議屋さんじ」……齊藤飛鳥  8
《創作》「ロボット被災地へいく」……中松まるは  20

〈イラストエッセイ〉 行方不明の記憶……鈴木翁二 32

共同討議
 日本の児童文学における「長いふしぎの物語」とは? 
~伝承からの遠心力と求心力~
きどのりこ、東野 司、宮川健郎  奥山 恵(司会) 34

【論考】ネオ・ファンタジーという第三相……井辻朱美 48

【論考】紀元80年に手法としての児童SFを探る
 ~汐文社『原爆児童文学集』のSF作品から~……河野孝之 55

〈エッセイ〉神の子の物語、人の子の物語……原田留美 62
〈エッセイ〉児童文庫の一側面 
「青い鳥文庫」fシリーズ、眉村卓『なぞの転校生』から……大島丈志 64 
〈エッセイ〉ジュール・ヴェルヌの作品と翻訳をめぐって……私市保彦 66

□長いふしぎの物語「書き出し」ブックガイド 日本編 68


◆追悼 広瀬恒子 
 思い出のなかに… ……三木三江子 72
 広瀬恒子さんを偲んで……きどのりこ 73

◎同人誌推薦作品
「元カレは、でんでん虫」……森嶋りつこ 74

《創作時評》…… 葦原かも、武藤清吾 80
《同人誌評》……島村木綿子、高橋秀雄、冬野翔子 88

〈児童文学に喝‼〉百年前からの声……三浦幸司 96
〈世界にひらく窓〉UAEの子ども事情……朽木 祥 97

◇読者のページ 102

■連載・インタビュー― 作家とLunch ~創作のひみつを探る~11 高楼方子 101
■連載・創作―「万丸食堂、奇跡のソフトクリーム」(第五回)…山本悦子 108

・ブックラック……86  ・投稿作品賞選評……98   
・子どもの本の情報館……94 ・執筆者プロフィール……121
・次号予告……95      ・編集後記……122

●表紙絵/佐竹美保  ●レイアウト/榎本事務所