日本児童文学 2024年3・4月号
短いふしぎの物語 -昔話、メルヘン、幼年童話-
詳細
子どもの本は、ふしぎの世界と親和性をもっていますが、同じふしぎを描いても、短編と長編では、書き方も違いますし、その意義や魅力も違います。今号では、まず「短いふしぎの物語」として、「昔話、メルヘン、幼年童話」など、短編の非日常物語をとりあげます。
昔話、メルヘン、フェアリーテイルなどと呼ばれる伝承物語の流れをくみ、やがて、その表現形式をもとにした、創作メルヘン、リテラリー・フェアリーテイル、童話などと呼ばれているふしぎを描く短い物語。雑誌などに掲載される短編や、幼年童話などにおいても、こうした「短いふしぎの物語」は、今なお、多く生まれています。
こうした「短いふしぎの物語」には、どのような歴史があり、また、どのような意義や魅力があるのでしょうか。子どもにとって、あるいは大人にとっても、このような「短いふしぎの物語」を書く、そして読むとは、どういうことなのでしょうか。あらためて、考えてみたいと思います。
※この号と対になるかたちで、本誌9-10月号では、「長いふしぎの物語」として、
「ファンタジー、SF」の特集を予定しています。
目次紹介
特集 短いふしぎの物語 ―昔話、メルヘン、幼年童話―
〈イラストエッセイ〉「しずかでにぎやかな夜」……おのりえん 8
〈詩〉 「ゆうやけの ましたで」……たかはしけいこ 10
〈短編〉 「~日小見不思議草紙~ 小面女房」……藤重ヒカル 12
〈短編〉 「大山デパート」……鳥野見知子 18
〈掌編〉 「おふろにいたトラ」……森くま堂 26
〈掌編〉 「ぽぽのひみつきち」……新井爽月 28
〈掌編〉 「餃子せんにんと地獄のラー油」……赤羽じゅんこ 30
【論考】
「童話」の〈ふしぎ〉
――開かれた自律をめざして――……佐藤宗子 34
フェアリーテイルの世界……芦田川祐子 44
幼年童話のふしぎ ~今とこれからと……ほそえさちよ 52
《自作を語る》
『ふしぎ草子』のこと……富安陽子 60
幼年童話を訳すときに考えたこ」……中野怜奈 62
《コラム》
昔話の再話とパロディのあれこれ……小川英子 64
安房直子作品に見る「断片」……大沼郁子 66
☆再録 安房直子論……安藤美紀夫 67
◇世界にひらく窓…… 津田紀子 72
◉訃報・西内ミナミ……遠藤みえ子 73
☆児童文学に喝……中川なをみ 74
☆子どものつぶやき 75
◇第51期日本児童文学学校・最優秀作品
「トイレ大じけん」……美月千歩 90
《創作時評》…… 濱崎桂子、小林夏美 76
《同人誌評》……ながいくみこ、美才治幸子、八重瀬けい 84
◇読者のページ 100
■連載・インタビュー― 作家とLunch ~創作のひみつを探る~8 石井睦美 105
■連載・創作―「万丸食堂、奇跡のソフトクリーム」(第二回)…… 山本悦子 112
さし絵 みなはむ
・ブックラック……82 ・投稿作品賞選評……96
・子どもの本の情報館……94 ・執筆者プロフィール……123
・次号予告……95 ・編集後記……124
●表紙絵/植田 真 ●レイアウト/榎本事務所