本年5月末に締め切りました中級向け創作シリーズ「新・童話の海」作品募集の結果を発表いたします。今年度の応募作は111編でした。9月22日、第一次選考通過作の13編を選考委員による二次選考委員会で3編に絞り議論いたしました。議論の中であがった意見は、可能性としてはおもしろいが、それが語り尽くせておらず、作者の思いが伝わってこないもどかしさ。また当初から求めていた新鮮な素材や、新しい視点からの作品という観点の弱さなどが指摘されました。そして出版という視点からみたとき、いずれもいまひとつ説得力が弱く、魅力が伝わってこないという意見が大半を占め、誠に残念ではありますが入選作なしということになりました。
その後、今年7年目を迎えた「新・童話の海」のあり方について議論が及びました。中級向けの作家の登竜門としての存在価値を大切に思いつつも、ここ数年の作品の「読者に読ませる力」の弱さといったものに対し、とりあえずここでこのシリーズ公募はいったん打ち止めにしようということになりました。そして今後のこの賞のあり方について、再検討しようということになりました。書き手の皆さんの可能性を感じられる新しい企画が生まれますことを念じつつ、本年度の結果発表をいたします。
◆入選作 なし
◇一次選考通過作品
「これ宝物なんだ、あげるよ」高森美由紀、「ぼくのなりたいもの」幸原みのり、「焼きそばパン」森埜こみち、「バトンガール!!」滝井幸代、「不思議の町へ続く道」草香恭子、「わたしたちのジャンピング」里 洋子、「新太の万華鏡」森 夏月、「泣き虫おばけのホームステイ」福井 智、「ぺーさんの灯台」森くま堂、「天々ほたるぶくろの夜」野原朋子、「おばあちゃんの宝箱」うのはらかい、「とねっこ」うのはらかい、「万々村のおおけなし」田中直子 (応募受付順)
◇最終選考に残った作品
「泣き虫おばけのホームステイ」 福井 智
「おばあちゃんの宝箱」 うのはら かい
「万々村のおおけなし」 田中 直子
なお、現在、過去の入選作2編につきましては、1冊は本年度中、もう1冊は来春出版にむけて準備中です。
■日本児童文学者協会 「新・童話の海」選考委員会
(加藤純子・薫くみこ・那須正幹・西本鶏介・ポプラ社児童書編集局)