連続トークイベント 子どもの本のひみつ 第3回
― 子どもの日常を描く視座 ―
創作の秘密や子どもの本の知られざる魅力・意義について語り合う連続トークイベントの第3回は、子どもの日常を扱う児童文学についてです。
家庭や学校を舞台に、身近な人々や友人、先生らとの葛藤を経て成長していく子どもの姿を描くということを、現代の児童文学はずっと大切にしてきました。ですがまた、安易な「成長物語」に陥りやすい領域でもあり、常にその「鮮度」が問題になってもきました。
例えば、この領域でよく使われる物語の型に、何らかの「事件」によって平穏な日常が「喪失」し、「喪失」の「回復」過程で主人公が「成長する」という型がありますが、この型に寄りかかりすぎると、物語は退屈になってしまいます。この機会に、できるだけ多様な視座から子どもの日常を描いてみることの必要性や面白さを、描く立場、読む立場、手渡す立場から、考えてみませんか。
ゲストスピーカーは、小・中学生を描いた物語や絵本など、数々の創作を重ねつつ、加えて、批評、評論活動においても、幅広く活躍するひこ・田中さんと、児童文学の研究者であり、かつ、ライトノベルや○○文庫など、量産され続けているいわゆる軽装本までをも守備範囲として、多角的な批評活動を続けている目黒強さんです。
◆日時 3/21(水・祝) 13時~15時(受付12時半~)
◆会場 京都文教大学・京都文教短期大学サテライトキャンパス伏見大手筋
(〒612-8053 京都府京都市伏見区東大手町755)
*アクセス
JR京都駅から近鉄電車に乗り換え「桃山御陵前」駅下車、徒歩5分。京阪電車利用の場合は「伏見桃山」駅下車、徒歩3分。
伏見大手筋商店街「そば処 伏見さらしな」2階。
◆トークゲスト ひこ・田中、目黒 強 (司会 相川美恵子)
*プロフィール
ひこ・田中(ひこ・たなか)
1953年生。作家・評論家。子どもの本を巡って多岐に活動。児童文学に『お引越し』(椋鳩十賞)、『ごめん』、『なりたて中学生』(児童文学者協会賞)他。幼年童話に『ハルとカナ』他。絵本に『へたなんよ』他。評論集に『大人のための児童文学講座』他。共著に『今すぐ読みたい! 10代のための YAブックガイド150!』他。
目黒 強(めぐろ つよし)
1973年生。 神戸大学教員。明治期における児童文学の成立過程の研究に取り組む一方、現代の子どもたちの物語体験のあり方について考えをめぐらせている。共編著に『「場所」から読み解く世界児童文学事典』(原書房)、分担執筆に金原瑞人/ ひこ・田中編『10代のためのYAブックガイド150!』(ポプラ社)などがある。
・資料代 500円 ・定員 30名(当日受付・先着順)
・お問い合わせ 日本児童文学者協会 03-3268-0691 zb@jibunkyo.or.jp
*会場はカーペットが敷かれていますが、重ね履きの靴下などをご持参いただくとよいかと思います。
*終了後、坂本龍馬がお竜の機転でからくも佐幕派の襲撃から逃れた、という逸話で有名な「寺田屋」(会場から徒歩、5分。見学4時まで) 周辺を散策する予定です。
*会場付近には、日本酒の古い酒蔵が並び、宇治川派流が流れています。京阪沿線には東福寺、伏見稲荷。京阪中書島で乗り換えれば宇 治の平等院まで20分ほどです。また桃山御陵駅から東へ上り、坂を辿れば、御香宮神社、乃木神社、頂上に明治天皇陵。
■ 主催:日本児童文学者協会 研究部 ■協力:京都文教大学フィールドリサーチオフィス