2023年度協会文学賞 三越左千夫少年詩賞発表
第63回日本児童文学者協会賞
山本 悦子 『マスク越しのおはよう』(講談社)
第56回日本児童文学者協会新人賞
鳥美山 貴子 『黒紙の魔術師と白銀の龍』(講談社)
第27回三越左千夫少年詩賞
星野 良一 『星の声、星の子へ』(銀の鈴社)
山本 悦子 『マスク越しのおはよう』(講談社)
鳥美山 貴子 『黒紙の魔術師と白銀の龍』(講談社)
星野 良一 『星の声、星の子へ』(銀の鈴社)
『むこう岸』
安田夏菜 講談社
傲慢な父の希望で私立校に入学したものの、ついていけず公立校に転校して居場所がない男子生徒と、父は事故死、母は心の病で働けない、生活保護家庭の女子生徒。二人はそれぞれの環境の中で、自分たちのやり方を見出そうとする。探索するその姿勢がいい。(選評より)
『ピアノをきかせて』
小俣麦穂 講談社
昨今の〈教育虐待〉を描きつつ、子どもたちの等身大の感情に寄り添い、家族友人たちとの関係も体温が伝わるように描かれている。(選評より)
『あさって町のフミオくん』
昼田弥子 ブロンズ新社
ナンセンスホラーとしての完成度の高さ、さらに読み手のアイデンティティを揺さぶる怖さがよく表現されていると評価された。(選評より)
『たとえば一人のランナーが』
半田信和 竹林館
詩人の緻密な観察眼で、自然や生きものたちの世界を描いた一冊。作品の一編一編に新鮮な発見があり、ポエジーがある。完成度が高く、授賞に全委員の意見が一致した。(選評より)
※なお、2019年度各協会文学賞の発表および選考経過報告のくわしい記事は、
機関誌『日本児童文学』7・8月号(発売中)に掲載しています。
『こんぴら狗』
今井恭子 くもん出版
江戸期の実在の風習をもとにした歴史物語。飼い主の病気治癒祈願のために、江戸から金毘羅までの数百キロにのぼる道のりを往復する、犬の旅を描いている。 当時の庶民の信仰への想いや暮らしぶりなどもていねいに描かれており、歴史物語に犬の視点を取り入れた新鮮な作風が、大きく評価された。(選評より)
『ラブリィ!』
吉田桃子 講談社
中二の自称「映画監督」の井出と助手で親友の榎木は、青少年創作映画コンクールの審査員特別賞を受賞する。その映画の主役に抜擢したのがクラスで「ブス」呼ばわりされ、いじめられてもいる涼子だった……。 設定が新鮮、構成力がある、伸びしろがあるなど、高い評価を得た。(選評より)
『ともだち いっぱい』
田代しゅうじ 四季の森社
父親を早く亡くした少年たちを厳しくも温かく育ててくれた母親への思いを綴った作品「夕焼け」「ぬっか」「あくまき」「水車」などが広く評価され、少年の日を歌った「ふるさとの風」の章も好評であった。(選評より)
※なお、2018年度各協会賞の発表および選考経過報告のくわしい記事は、
機関誌『日本児童文学』7・8月号(7月10日頃発売)に掲載しています。
『なりたて中学生 初級編・中級編・上級編』
ひこ・田中 講談社
『なりたて中学生』は、引っ越しのために隣の学区の中学校に入学した成田テツオくんの、入学式からの半年余りを綴った「中学生のなり方マニュアル」です。主人公のテツオが、中学校という場を自分の中に取り込んでいくプロセスが、とても細かく描き込まれていて、今までにない新しい「学校物語」となっています。
『日小見不思議草紙』
藤重ヒカル 偕成社
江戸時代の日小見藩という架空の小さな藩を舞台にした、連作短編です。この藩には、いろいろと不思議な言い伝えがあり……という設定で、その言い伝えのもとになった出来事が語られます。一つひとつの物語の完成度や、本全体の構成も含めて、新人賞にふさわしいと評価されました。
『ペンを持つと ボクね』
柿本香苗 竹林館
……いま、ペンがツバサになって……
川上裕己くんが描く自由で伸びやかなペン画と、やさしい言葉たちのコラボ
レーションが印象深い、くりかえし手に取ってページをめくりたくなる詩集です。
『ミミズのバイオリン』
佐野のり子 花梨社
……ぼくはミミズがバイオリンを弾いているのを見た……
星も雪も、ねこも、アスファルトの上のミミズも、静かに、美しく、ときには
ユーモラスに、「詩」という形に留められるのだと改めて教えてくれます。
※なお、2017年度各協会賞の発表および選考経過報告のくわしい記事は、
発売中の機関誌『日本児童文学』7・8月号68~79Pに掲載されています。