『むこう岸』
安田夏菜 講談社
傲慢な父の希望で私立校に入学したものの、ついていけず公立校に転校して居場所がない男子生徒と、父は事故死、母は心の病で働けない、生活保護家庭の女子生徒。二人はそれぞれの環境の中で、自分たちのやり方を見出そうとする。探索するその姿勢がいい。(選評より)
『ピアノをきかせて』
小俣麦穂 講談社
昨今の〈教育虐待〉を描きつつ、子どもたちの等身大の感情に寄り添い、家族友人たちとの関係も体温が伝わるように描かれている。(選評より)
『あさって町のフミオくん』
昼田弥子 ブロンズ新社
ナンセンスホラーとしての完成度の高さ、さらに読み手のアイデンティティを揺さぶる怖さがよく表現されていると評価された。(選評より)
『たとえば一人のランナーが』
半田信和 竹林館
詩人の緻密な観察眼で、自然や生きものたちの世界を描いた一冊。作品の一編一編に新鮮な発見があり、ポエジーがある。完成度が高く、授賞に全委員の意見が一致した。(選評より)
※なお、2019年度各協会文学賞の発表および選考経過報告のくわしい記事は、
機関誌『日本児童文学』7・8月号(発売中)に掲載しています。