『なりたて中学生 初級編・中級編・上級編』
ひこ・田中 講談社
『なりたて中学生』は、引っ越しのために隣の学区の中学校に入学した成田テツオくんの、入学式からの半年余りを綴った「中学生のなり方マニュアル」です。主人公のテツオが、中学校という場を自分の中に取り込んでいくプロセスが、とても細かく描き込まれていて、今までにない新しい「学校物語」となっています。
『日小見不思議草紙』
藤重ヒカル 偕成社
江戸時代の日小見藩という架空の小さな藩を舞台にした、連作短編です。この藩には、いろいろと不思議な言い伝えがあり……という設定で、その言い伝えのもとになった出来事が語られます。一つひとつの物語の完成度や、本全体の構成も含めて、新人賞にふさわしいと評価されました。
『ペンを持つと ボクね』
柿本香苗 竹林館
……いま、ペンがツバサになって……
川上裕己くんが描く自由で伸びやかなペン画と、やさしい言葉たちのコラボ
レーションが印象深い、くりかえし手に取ってページをめくりたくなる詩集です。
『ミミズのバイオリン』
佐野のり子 花梨社
……ぼくはミミズがバイオリンを弾いているのを見た……
星も雪も、ねこも、アスファルトの上のミミズも、静かに、美しく、ときには
ユーモラスに、「詩」という形に留められるのだと改めて教えてくれます。
※なお、2017年度各協会賞の発表および選考経過報告のくわしい記事は、
発売中の機関誌『日本児童文学』7・8月号68~79Pに掲載されています。