被災地の子どもたちへのメッセージ


  子どもは強い
                     あんずゆき(大阪府・作家)

 哀しすぎるできごとだった。被災地の苦闘を想うと、言葉でも義援金でも埋められないものがそこにある。
 けれどそんな被災地で、子どもたちは強かった。 泣いていても、すぐに笑う。怖かったと言いながら、でもおびえていない。前を見てしっかりと立っている。そして歩き、たちまち駆け出す。
 だから子どもたちにお願い。
 悲しんでいる人の手をそっとにぎってあげて。ほほえんであげて。それが一番の力。未来への希望にきっとつながる。



  花いちりん
                     井嶋 敦子(秋田市・小児科医)

いま なにをしたら いいんだろう
いま わたしに なにが できるんだろう
あせらないで
まよわないで
じぶんの からだに きいてみて
いま わたしは なにがしたいの?
こたえは みつかる きっとね
そのときまで とりあえず
かざろう 花を いちりん
めざめた あなたの目に みえるばしょに



  つながる
                     今関 信子(守山市・作家)

 被災地のみなさん、どのようにお過ごしですか。
 どうかこの日を、この時を、生き抜いてください。
 滋賀県に住んでいる私は、「阪神淡路大震災」を身近に経験しました。神戸へお手伝いに通っていると、近所の人が「自分は年寄りがいて、行けない。用事を引き受ける」と言って来ました。
 夜遅く帰宅すると、「お疲れさま。晩ご飯にどうぞ」と、メモがついた袋がぶら下がっていることがありました。
 あの時、私は、多くの人がつながっていることを、目には見えなくても、応援している人が、たくさんいることを知りました。
 この度も、私は、つながっていこうと思っています。



  小さな祈り
                     大倉 尚美(北海道せたな町・詩人)

 美しい自然、海、山、大地は人間にとってもいのち生命の源です。
 東日本大地震は全てを破壊し、人々の心に大きな苦しみを残して行きました。
 私は北海道で酪農を営み、牧場の前には、広い日本海と奥尻島が浮かび、あの西南沖地震を経験し、大きな悲しみを知ったのです。けれども今、人は立ち上がり、魚や米・生乳を生産しています。
 共に復興を信じ夢を持ち、微笑みを願っています。
 小さいながら、この春はもっと種を蒔き、豊かな実りと人々のしあわせ幸福を祈りたいと思います。



  本はいつでもきみたちの味方です
                     岡田 淳(神戸市・作家)

 ただことばを失っています。
 でもいえることがあります。人間は、なんとか生きていけるとわかったら、その現実に慣れるということです。
 阪神大震災のとき「だれも本を読んでもうひとつの世界になど行きたいと思わないだろうな」と思いました。けれど何日かたつと、避難所になっていた勤め先の小学校では、図書室に行く子がでてきたのです。
 現実に慣れたとき、そこにばかりいるのではなく、もうひとつの世界に心を置くのはいいことです。
 本はいつでもきみたちの味方です。



  みんな 手をつなごう
                     佐保 良子(熊本県水俣市・作家)

 波のような大地震、山のような大津波。
 大きなクジラが、大地に口をつけて、過去も未来も夢も希望も飲みこんでしまった。
 地震くん、津波くん、どうして、そんなにおこって、ぼく達の地球や大地を動かすの。
 私達は、家や家族、友達や宝物みんな無くしてしまった。ほんとに自然が憎い。
 青い空、白い雲、今日も流れていく。
 私は、生きている。しあわせって何だろう。
 みんな、手をつなごう。明日を生きるため。



  種まく春に
                     千世 繭子(福島県喜多方市・作家)

 今日も、大切なものをみんな無くしてしまったと、うつむくあなたに伝えたいのです。
 生まれた時、持っていたものなんてなかったよ。小さな手が握っていたのは、希望の種が一つだけ。
 それは、目では見えないけれど、ちゃんとある。
 泣きたい時は、大声あげて泣いていいんだよ。
 大地だって、海だって「ウォー」って、あばれて泣くんだもの。だいじょうぶだよ。だいじょうぶだよ。
 明日、お日さまの下で、手を開いてごらん。あなただけの種が、芽ぶくのがわかるから……。

                農園内「種まきハウス」にて。



  キミたちを信じる
                     中川 良孝(茨城県取手市・読書運動家)

 とりわけ美しい三陸の海と街並み。なだらかで優しい福島相馬の街々。私の語り読みに聞きいってくれた、素朴で明るいキミたち。
 キミたちに会えたのは、わずか数年前のことだった。その街が、巨大なものに根こそぎ奪われた。
 あの幼稚園は? 学校は? そしてキミたちは? 私は、否、世界じゅうの人々が心配をしている。
 キミたちのことを、けれど私は信じる。キミたちは、いつか再び立ち上がってくれる、と。
 そして復興の中央にすくっと立ち上がってくれる、と。



  ゆらぎの詩
                     わたりむつこ(東京都・作家)

地の底なる ゆらぎの柱
地をはげしく くだき裂き
地をふるわせ 酔わすとき
たて! よみがえりの石よ
戦え! 地の苦しみをぬぐい去るまで

海岸小人は 海に出て
ゆらぎの柱を 滅ぼした
ゆらぎの柱を 滅ぼした
ここは ぼくらのすきな島!

          ―『ゆらぎの詩の物語』より



  はじまり
                    高 貞子(コ・チョンジャ、大阪市・作家)

 海は人々にたくさんの素晴らしいものを与えてくれました。美しい海、風、そして海の匂い、魚、貝、ワカメなど、すべてのものを与えてくれました。
 でも、あの日に海はすべてのものを奪いました。家、船、村、そして大切な家族。
 自然の力、大津波の前でなんと人間は小さいことか、生き残ったことが奇跡。人は小さな存在だからこそ人の温もりがあたたかい、手と手を合わせれば希望が生まれる。
 そう、あなたがはじまりに、あなたがそれでもあの海を、故郷を、人を、それでもまた、愛しはじめるはじまりになる。きっと。



  きみのこえをききたい
                     北川 チハル(京都府・作家)

こんにちは!
ひがしにほんの おともだち。

わたしは げんきが でないとき
うたを うたっているよ。

ともだちに げんきを だして ほしいとき
おはなしを つくっているよ。

きみにあいたい
きみの こえを ききたいよ。



  未来に向かって
                    福本 友美子(東京都・翻訳家)

毎日毎日、被災地の様子をテレビで見ています。
子どもの姿がうつると、元気でいるかな、と顔をのぞきこんでいます。
大人たちが途方に暮れている今、皆さんはどんなことを考えていますか。
新聞で「大人はいつまでも地震の話をするけど、子どもはしない。もう、いいです。」と語る16歳の高校生の記事を読みました。しっかりと未来に向かって歩いているのですね。
本を作る仕事をしている私たちは、1日も早く、皆さんが安心して学校に行って、図書館でゆっくり本が読めるように願っています。
本はきっと皆さんの力になるからです。



  未来は君たちのもの
                     山下  勇(徳島県・気象予報士)

 東日本大震災は想定外だと言われていますが、決して想定外ではありません。過去にも同じ程度の現象がありました。
 自然界では、記録更新は常に起きること。大災害を繰り返さないためには、少なくとも過去の記録は重視すべきです。
自然は時として過酷な災害をもたらせますが、限りない恵みも与えてくれます。津波が世界一の防波堤でも防げなかったことを教訓に、「自然と共に生きる方法」をみんなで考えましょう。復興の形は今の大人が作りますが、その中身を充実させ、輝かしい日本の未来を築くのは君たちです。
 季節は確実にめぐります。





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